配信

過去のネット配信を色々と思い出してみる #1

ネット配信との出会い

日本におけるライブ配信サービスの歴史というのをまとめているサイトがありました。

ライブ配信の歴史
https://note.com/fukami/n/n71874aff3095

2001年にサービスを開始した「ねとらじ」というのは聞いたことはあったけど、私は利用したことはありませんでした。私が初めてライブ配信サービスを視聴者として利用したのは2002年頃に生まれた「PeerCast」が最初です。といっても、私がPeerCastに手を出し始めたのはおそらく2007年頃で、その時にネット配信を見ようと思ったきっかけは、実はニコニコ動画に投稿されていた一つの動画でした。

当時の日本は「一個人がインターネットで配信をする」なんて概念がほとんどなかったと思います。Youtubeもニコニコ動画も今のようなリアルタイム配信機能はなかったですし、ほとんどの動画がビデオカメラで撮影したものか、PC上で二次元や三次元のキャラクターを編集してあげていたも(俗にMAD動画と呼ばれるようなもの)のばかりでした。今のように動画の投稿者自身がバストアップでカメラに向かってしゃべる、みたいな動画はほとんどなかったと記憶しています。

そんな状況の中、私がニコニコ動画で見つけてしまった動画がこれでした。今から約13年前の2007年3月のことです。

ニコニコ動画は2007年1月15日にβサービスが開始。私はその日に会員登録をしたが、アニメのMADムービーが多く、アニメに疎い私はついていけないネタばかりで困っていた。そんな中、私がついていけるTVゲームを実況しながらプレイしている動画(といっても五目並べですが)を見つけてしまい、嵌まってしまったのです。この動画のアップロード日は2007年3月7日で、動画のIDは sm9971 とまだ4桁です(現在は8桁、3千万以上の動画が上がっている)。

日本におけるゲーム実況の元祖は有野係長の「ゲームセンターCX」でおそらく異論はないと思うのですが、ゲーム実況リアルタイムインターネット配信の元祖となると誰でしょうか? 一説には2006年にPeerCastで配信を始めた「そにっくぶーん」さんや「otacky」さんということらしいのですが、知名度でいうとほぼ同時期にPeerCastでリアルタイムでゲーム実況配信を行っていたと思われる、上にあげた五目並べ動画の永井浩二氏となると思います。ちなみこの動画はPeerCastでリアルタイム閲覧していたリスナーが録画して後日にニコニコ動画に上げたものであり、永井浩二氏本人があげたものではありません。

ゲーム実況をリアルタイムで見る環境をつくるのが大変な時代

2007年当時、Youtubeやニコニコ動画は存在していましたが、リアルタイムで動画配信する機能はまだなくて、録画したものをアップロードして見てもらうことしかできない時代でした。一個人がリアルタイムで動画配信するには、当時はおそらくPeerCastを使う以外の選択肢はなかったと思います。

私は当時はまだ珍しかったゲーム実況というものにはまりました。そして、わたしは誰かがニコニコ動画に上がるまで永井浩二氏の動画を待つというのが嫌になってきたので、リアルタイムで視聴できるPeerCastを導入しようとなるわけです。

しかし、これが普通の人がPeerCastを導入しようとすると結構大変です。今のようにブラウザで気軽に・・・みたいな感じではありません。高速のネット回線を契約し、専用のソフトウェアを入れて、今では死語となっていますが「ルーターのポート開放」をしないと快適に見ることができません(今の配信とは違い配信サーバを持たずにPeer to Peer技術を使っているため。厳密にいうとポート開放しなくても配信の閲覧はできるが、下流への再配信ができないので、上位の人に切られてしまう)。

PeerCastと一般的なストリーミング配信の概念の違い(Wikipediaから画像のみ転載)
一般的なストリーミング配信の説明画像はちょっと違う気もするが・・・

幸いにして私はその辺は苦労しなかったので、彼のゲーム配信のわりと黎明期から楽しんでいました。ただ、ちょうどその頃はすでにゲーム業界で働いていたので

ただ、ちょうどその頃はすでにゲーム業界で働いていたので

悲しさ
(おっさん)

(職場の人に見てるのばれるとちょっとまずいな・・・ こっそり見とこ・・・)

当時のゲーム実況インターネット配信は規制もなければルールもなく、今よりもかなりアンダーグラウンドな時代でした。当時、私が勤めていた会社のゲームもかなりプレイしてくれていたので、個人的には嬉しくはあるのですが、会社で公には話せないというジレンマがありました(自分以外にも見てる人はおそらくいたと思うけど)。

ちなみにPeerCastにはチャット機能がないので、永井浩二氏はチャット機能を2ch(現:5ch.net)に委ねてました。彼は無類のスロット好きだったので、スロット板に彼の配信コメ専用のスレが毎日いくつも立っていて、スレタイのPartの数字が5桁になっていたと思います。

そしてゲーム実況もあまり見なくなる

ひっそりと永井浩二氏のゲームのリアルタイムゲーム実況インターネット配信を楽しんでいた私ですが、とある時期にとある事件のようなものがあり、永井浩二氏(と弟の博之氏)が表舞台からいなくなるという時期がありました(同時に彼のPeerCastによる配信は終了した)。おそらく2010年の春頃だと思います。(そして数年の沈黙の後、彼らは復活します。)

それを境にして私もゲーム配信を見るという風習がなくなってしまいました。私はちょうどその頃、当時の勤め先で開発していたMMO RPGのサーバのプログラムを書かされていて毎晩27時頃まで残業とか、その最中に北海道から東京へ転勤を命じられるとか地獄の日々を送っていたので、他の配信者を吟味するような余裕はなかったというのもあります。もし、それがなければ、その頃から活動していて、今では大人気の加藤純一さんやもこうさんの配信を見るようになっていたかもしれません。見るきっかけを失ってしまったからなのか、今でも大手のネット配信はほとんど見ることはないです。


振り返ってみると、今は良い時代だなと思います。配信を見るのは超簡単ですし、配信する側もちょっと頑張ればだれでも簡単にできます。インターネット配信の黎明期から活動されていた方は本当にすごいなぁと思いますね。配信見るだけでも結構大変だったのに、配信する側は超大変だったと思います。

2011年以降の話については #2 で書きたいと思います。

フリーザのモノマネで弟切草を朗読するという世界初の事象を起こした永井浩二氏。実は私がその配信時にコメ代わりとして使っていた2chに「弟切草をやってくれ」とコメを書き、永井浩二氏がそのコメを拾って実際にプレイしてくれたものである。