数あるレトロゲーム機の中で、ゲーム配信・ゲーム実況する難易度がかなり高いのがNintendo DS、3DSだろう。ゲームソフトがかなり充実してるハードではあるが、他のゲーム機に比べて配信してる人が極端に少ない。画面を取り込む難易度が他のハードに比べ高いためであるのは明確であるが、とはいえ配信してる人はそれなりに存在しているので、「方法さえ分かれば・・・」という人もいるのではないだろうか?
DS、3DSのゲーム画面を取り込む方法としては大まかに5つの方法がある。
- 直接カメラで画面を取り込む(直撮り)方法
- カスタムファームウェア(NTR)を入れてキャプチャする方法
- PC上でエミュレータを使う方法
- エミュレータ機を使う方法
- 3DSの本体に映像出力の機能を追加(俗称:偽トロ)する方法(オススメ)
一番のオススメは⑤なのだが、あえて①〜④の説明を行ってからにすると⑤の優位性が伝わると思うので、この順番で紹介してみる。
① 直接カメラで画面を取り込む(直撮り)方法
これは誰しもが考える方法であるし、実際にやってる人もまれに見かける。ハウツー動画もあったので紹介してみる。
自分は試したことないのだが、これの一番の問題点は「カメラが邪魔でプレイしにくい」ということに尽きるだろう。見栄えの問題も大きい。この2点を許容できるならありだと思う。とにかく簡単であまり金がかからなく法律云々という微妙な話がないが大きなメリットだ。
② カスタムファームウェア(NTR)を入れてキャプチャする方法
あまり知られていない方法のような気もするが、カスタムファームウェア(NTR)を入れてキャプチャする方法が存在する。
導入方法がかなり難しく、かつその他のデメリットも多い。3DSのゲームのみの対応で、DSのゲームでは使えないというのが最大のデメリットだ。起動している最中にオンラインにしてしまうと違法行為になる可能性もあるらしい(3DSのオンラインサービスが終了したら問題なくなるかも)。導入方法に関する動画を張っておくが、個人的にはオススメできない方法だ。自分も試してみたことがあるが、とにかく面倒だったし、配信に耐えうるほどの安定感も感じられず、配信に使うのは断念した。
③ PCエミュレータを使う方法
DS、3DSともに優秀なPCエミュレータが存在しているようだ。自分は試したことないので分からないのだが、配信で使ってる人もまれに見かける(明らかに画質がキレイなので分かる。ドット単位でくっきりキレイな画面で配信してる人は何かしらのエミュレータを利用している可能性が高い。【修正】どうやらこの後に出てくる「偽トロ」を使ってもDot By Dotで出力する方法があるだ。Macのキャプチャソフトにはそのような設定がないので詳細不明)。具体的な方法はここでは書かないが、配信との相性が激悪なので、こちらも個人的にはオススメしない。PCエミュレータを使用すること自体は何の問題もない行為ではあるのだが、配信を見てる人は単純にそういう風には見ない。PCエミュレータを使って配信をするのなら、ゲームを吸い出すところを見せるところからやる、カメラを起動してソフトの実物があることを見せる、などの工夫が求められるだろう。この部分に関してはしっかりとした説明がマストではあるが、「説明だけでは伝わらない」と個人的には思う(まぁ、DSや3DSに限らずの話になってしまうところもあるが)。あと、DSの一部のゲームや3DSのゲームの吸い出しに関しては「コピープロテクト解除の行程が必要で違法になる」という説があるので、そういう観点からもオススメはできない(コピープロテクトの解除は私的利用だとしても著作権法30条1項2号、3号で明確に禁止されている)。
2024年3月、以下のようなニュースが流れた。
Nintendo Switch非公式エミュレーター「yuzu」、米任天堂からの訴訟を受けて配布・開発即座に終了。
https://automaton-media.com/articles/newsjp/20240305-284643/
それをうけて、3DSのエミュレータ「Citra」も公開を停止したようだ。
エミュレータを使うこと自体は法律違反ではないが、もしエミュレータを使って配信や録画をするなら、見てる人に誤解を与えないように、よりていねいな説明や見せ方が求められるであろう。
④ エミュレータ機を使う方法
近頃はDSのゲームを遊べるエミュレータ機というのが存在するようだ。主に中国で開発・発売され、日本で購入できるものも多く存在する。
ただ、3DSに関してはまだ対応してる機器は存在してない?ようだ。そして、これらの機器を配信で使うとPCエミュレータと同様の問題(これらの機器は実物のソフトを使うわけではなく、ゲームを吸い出す必要がある)が出てくるので、PCエミュレータ使用の際と同様に「説明だけでは伝わらない」ことや吸い出し時のリスクをしっかり意識して配信に臨む必要があるだろう。これはDSに限らずの話でもあり、レトロフリークを使って配信してる人も同様である。
とくに希少性が高いソフトをエミュレータで配信しようものなら、見てる人は疑いの目をかけるだろう。DS、3DSのエミュレータを配信で使用すると画質がドットがくっきりキレイすぎるのですぐに分かるし、「本当に持ってんのか?」という目で見てしまう人が少なからずいる。あらぬ疑いをかけられないような対策をしっかりしとかないと、変に絡まれる可能性もあるから要注意だ。
今回のDSや3DSの画面取り込みの話とは直接関係はないが、自分がレトロゲームをエミュレーター機で配信する際は変な疑いをかけらないように、カメラを起動してソフトの実物を写したり、手元を見せたりするようにしている。そんな高いゲームを配信することは多くないけど、以前に「京都財テク殺人事件」を配信した際は、ソフトをカメラに収めながら配信した。
⑤ 3DSの本体に映像出力の機能を追加(俗称:偽トロ)する方法(オススメ)
前置きがかなり長くなったが、ここからが本当に書きたかったことだ。オススメの方法ではあるが、ちょっとややこしい事情があるので、それを先に説明する。
ここからは法律の話も絡んでもろもろ複雑な状況になっていて、内容の正確性については微妙なところもある。もろもろ調査して私なりに解釈し文書化した内容なので、その点はご留意いただきたい。
「3DSに映像出力の機能を追加」というと「偽トロ」「偽トロキャプチャ」というワードを聞いたことがある、もしくは思い出す人がいるかもしれない(読み方は「にせとろ」と読むのが正しいようだ)。かつて存在していた株式会社ケイティという企業の登録商標であり、3DSに映像出力の機能を追加する基板やPCで画面を表示するソフトウェアの総称である(現在では「映像出力機能が組み込まれている改造DSや改造3DS」の俗称として使われることが多いので、以下の文章でもその意味合いで使う)。このケイティという企業は2019年に業績が悪化して倒産するのだが、その時に色々な事象が重なったこともあり、「偽トロ」という言葉にはいくつか負のイメージがつきまとうことになる。その中の一つが「偽トロ = 違法」というイメージだ。
結論から先に書くと「偽トロ」を使うこと自体は違法ではないし、購入することや所持することも違法ではない。じゃあ、なぜそんなイメージが付いたかというと、ケイティ社が倒産する直前の2018年に不正競争防止法が改正され、「偽トロ」のようなツールを使うなどしてゲーム機の改造代行をするのが違法行為になったと言われていることだ。ただ、ケイティ社はこの法律云々以前にもともと資金繰りが苦しく、たまたまこの時期に倒産したようであり、3DSの改造代行が違法と認定されたわけではない。改正された不正競争防止法の内容もかなり分かりにくく、「偽トロ」のような商品で商売すること自体(改造代行含む)が違法行為であるという判断はまだ誰も下してない(私が調べた範囲ではあるが、法律の専門家が判断してるような記事は見つけられなかった)。個人的には「偽トロを組み込む改造代行は違法である」という意見が勝手に一人歩きしている気がする(もしこの先、違法になるという司法判断が入ったり、法律専門家の解釈で違法だろうということがあれば、このブログ記事を全体的に見直して書き直す、もしくは全削除する予定)
また法律とは別に、任天堂の「ネットワークサービスにおける任天堂の著作物の利用に関するガイドライン」というものがあり、その中には以下のような記述がある(配信等で使う際の著作権に関するものなので、「偽トロ」そのもの(購入や所持)に関しての話ではない)。
(一部抜粋 / 2024年9月2日:一部内容が追記・修正された部分を反映)
任天堂は、違法または不適切な投稿や公序良俗に反する投稿、このガイドラインに従わない投稿に対して、法的措置を講じる権利を保持しています。また、そのような投稿を行った者に対しては、以後の任天堂のゲーム著作物の使用を認めない権利を保持しています。(2024/9/2 追記)
「違法または不適切な投稿や公序良俗に反する投稿」には、以下のものを含みますが、これらに限定されません。(2024/9/2 更新)
- 各国の法令に違反するもの
- 任天堂の知的財産権を侵害するもの
- 任天堂の商品またはサービスの正常な動作を妨げたり、安全性を損ねたりする行為を伴うもの
- 意図的にゲームの進行を阻害するなど、複数人でのプレイのゲーム性を損なうと認められる行為に関するもの
- 攻撃的、侮辱的、猥褻(わいせつ)または他人に不快感を与えると認められる発言や行動に関するもの
- 不正にコピーされたゲームソフト、改造されたゲームソフト、任天堂の許諾を受けずに任天堂の著作物を利用して制作されたゲームソフト、または不正に入手されたゲームソフトに関するもの
- チート、クラッキング、不正アクセス、技術的制限手段の回避、不正な改造またはこれらを可能にする物、ツールもしくはサービスに関するもの
- エミュレーターや技術的制限手段を回避するプログラムなど、不正行為からゲームソフトやゲーム機を保護するために任天堂が導入したセキュリティを回避するソフトウェアや装置の使い方に関するもの
- 通常のゲームプレイでは利用できない映像や画像、音源等を、データマイニング等の方法によりゲームソフトから抽出して利用するもの
DSや3DSに映像出力先を追加することが上記の内容に該当するかどうかであるが、捉え方次第ではある。「技術的制限手段の回避」というのが一番怪しいところではあるが、「映像出力に技術的制限をかけているか」というと、そうではないだろう(映像出力信号に対して著作権保護のためにHDCPのような暗号化などはされていないし、DSや3DSの頃のゲームに配信禁止区間のような概念は存在しない)。とりあえず、現状では「偽トロ」のような商品に対して、任天堂や司法が判断した事例は存在していないようだ。そもそもこの部分は「投稿」に対しての文言であるので(「行為」そのものについては触れていない)、投稿した動画や配信内でDSや3DSの映像出力に関する行為そのものに直接触れなければ、問題になることはほとんどないと思われる(もし問題になったら素直に取り下げよう)。私は偽トロは任天堂のガイドラインに引っかかってないと判断していて、自己責任の下で偽トロを使用しての配信を続けている。
ポケモンの乱数調整で「偽トロ」のようなものを使うと色々と捗るらしいのだが、この行為はガイドラインに触れてしまう可能性があるかもしれない。これらの行為をそのまま配信するのはやめたほうがいいかも。
以上のような複雑な状況をふまえてではあるが、DSや3DSのゲームを録画したり配信したりするには、自己責任の下で「映像出力機能が組み込まれている改造3DS」を調達するのが個人的には一番ベストな選択だと思っている。調達方法は現在だと、
- ヤフオクやメルカリ等で販売されているものを買う
- 「偽トロ」のような基板は現在でも国内や海外サイトで販売されているので、それを調達する
の2パターンになるだろう。
①のパターンだが、ヤフオクだとニンテンドー3DSLLで4万円弱くらいで販売されているものが多いが、Newニンテンドー3DSLLだと5万円以上するようだ。ただし、偽トロを組み込んでいない3DSを売りつける詐欺まがいな行為も横行してるので、過去の取引履歴などを見て、ホンモノを売っているのかをしっかり見極める必要がある。
②のパターンは意外と知られていないのだが、まだ国内で販売している業者が存在する。というかケイティ社の「偽トロ」が有名ではあるが、実はこの「偽トロ」が世に出る前から存在していた業者のようだ。詳しく紹介すると問題があるかもしれないので、リンクだけ張っておく(リンクフリーと書いてあるので)。私自身はこの方法で調達していて、今もそこそこに安定して使えてはいる(「そこそこに安定」という部分に関してはこの記事で紹介)。ヤフオクと同様にそれなりの出費は必要になるが、購入時の安心感はこちらが上だと思う。
画質に関してはエミュレーターを利用したときよりくっきりとはならず、ちょっとぼやけた感じになる。ただ、配信で使う際などではエミュレーターを利用していないという説明が付きやすいので、逆にいいのかもしれない。
海外のショップにはUSB-Cコネクタが利用できる3DS用キャプチャ基板が存在して、それを取り寄せて取り付けてる人もいるようだ。同時に充電もできるようでかなり取り回しがよさそう。ただし、ハンダ付けの難易度が恐ろしく高いので、素人は手を出すのは厳しい。ここで売っているので、腕に自信があるならチャレンジしてみてもいいだろう(取り付け代行サービスも行ってるようだが、海外に3DSを発送して・・・となるとトラブルの香りしかしないw)。キャプチャソフト側の機能もかなり高機能のようだ。メルカリでこの基板を使って改造した3DSを出品していた人がいたので、その方から購入するのもありだろう(迷惑なるかもしれないのでリンクは張らない)。
2024年8月追記)
この基板の存在がずっと気になってしまって、結局は海外のショップで売ってるUSB-Cコネクタ付きの3DS用キャプチャボードを購入し取り寄せ、自分で取り付けてみることにチャレンジしてみた。色々あって超超超大変だったw ただ、国内基板よりも安定してそうだし、なによりUSB-Cが使えるのは超便利。頑張ってチャレンジした甲斐はあったと思う。
合わせて記事も公開した。チャレンジされる方はぜひ参考にしてほしい。
録画した動画を公開したり、配信したりする際は積極的に「偽トロ的なものを使っていること」をアピールした方がよい。画面上に表示するなり、動画の説明文や概要欄に記載すると良いだろう。これらを使うことは決して違法行為ではないので何の問題もない(もちろん、各メーカー・パブリッシャーが定めている配信ガイドラインは守る前提の話ではあるが)。逆にその辺の説明が何もないと「もしかして・・・?」と訝しがる人が出てくるかもしれない。少なくとも私はそういうタイプなので、配信時は常に手元と偽トロ3DSもカメラで写すようにして、見てる人が変な誤解をしないようにすることを心がけている。
この記事のまとめ
①〜⑤をまとめると、オススメは法律含めて諸々の状況を把握したうえで、自己責任の上で⑤をオススメするが、費用的にかなりの出費になる。金銭事情が苦しい場合は①をオススメする。②〜④に関しては個人的にはオススメしない。
「DSや3DSのゲーム配信をしたいけどよく分からない・・・」というような人にこの記事が参考になれば幸いである。
ちなみに私はMacを使ってDSや3DSのゲーム配信をしている。「Nintendo DS、3DSのゲーム配信(録画)する方法(Macを使いたい編)」というタイトルで別記事で公開したので、Mac使いの方は参考にしてほしい。