配信

Macで配信をするということ(その3 / Apple M1編)

その1、その2にてIntel Macにてのゲーム配信に関する記事を書いた。

Macで配信をするということ(その1 / Intel CPU編)メインPCのOSは長年MacOSを使っている。Windowsは別に嫌いじゃないが、やはりMacOSの方が色々とすっきりしていて良い。ゲーム業界で働いていた頃に会社貸与のPCがWindowsで仕方なく使っていたが、出版業界に移ってからは会社貸与のPCもMacであり、家でも職場でもMac使用率ほぼ100%の状態になっていた。が、しかし、2017年にPUBGというゲームが私の前に現れて、突然ゲーミングPCを買ったくだりは前回書いたところである。...
Macで配信をするということ(その2 / ソフト・周辺機器編 / Intel Mac & M1/M2/M3 Mac両対応)今回は配信で使用するソフトや周辺機器を紹介する。Macの場合はWindowsと比較すると対応しているものが少なかったりするので、多少なりとも参考になればいいとは思う。...

そしてようやくMac mini M1機でのゲーム配信のテストを行えたので、こちらの結果をその1に近い形で記事にしていきたいと思う。

配信テストで利用したMac mini M1について

今回の配信テストで利用したMac mini M1のスペックを以下に記載する。メモリだけ16GBにカスタムしたモデルで、定価だと税込みで10万円ちょっと。

Mac mini(M1 2020)
CPU
  • 8コア(Apple M1チップ / 4つの高性能コアと4つの高効率コアを搭載した8コアCPU)
メモリ
  • 16GBのユニファイドメモリ(カスタム)
ストレージ
  • 256GB SSD
GPU
  • 8コアGPU(内蔵)
コンパクトな筐体のMac mini。この角度から見るとIntelモデルと見た目がまったく変わらない。モニタの下にすっきりと収まる。

Intel Macと比較してM1 Macでゲーム配信するとどうなるか?

M1 Macで実際に配信。負荷チェックのためのテスト配信で、実際の配信ではなく、私の声などは入っていない。キャプチャボードでXBox Series XをフルHDでとりこんでいる。冒頭で音の取り込みに失敗しているが、途中から音が入っている。動画の右下にあるのがMac mini M1。たまに触っているがまったく熱くならない。ヌルい。

今回の目的はIntel Macと比較することなので、配信の設定や状況を前回の設定とほぼ合わせた。とはいっても完全に同じにはできないので、その辺はご容赦頂きたい。

使用しているソフト(OBS)やキャプチャボード(CHD312)、カメラ等(C920r)もIntelのときの記事と同じである(内容はその2で紹介している)。

MacユーザにCHD312を地味に布教してきたが、徐々に売れてきてるようだ。

配信設定は以下の通り(前回と同じ設定なので画像は流用)。

基本的な映像出力設定。1920×1080の30フレーム/秒の設定。この画質であれば細かい文字が読めないなどは発生しない。
Twicasへの出力設定。ビットレートは4000Kbps(おそらく音声込みなので実質は3850Kbps程度になると思われる)。エンコーダーに「ハードウェアエンコーダー」を使用する設定にしてある。せっかくGPUが付いてるのだからこれを使わない手はない。Macの一部の機種ではこれを選択できないかもしれないので、その場合はCPUへの負荷がより高まると思われる。

※追記:ハードウェアエンコーダーの設定をそのままこちらのOBSに読み込んで配信をしたところエラーが出たのだが、再度ハードウェアエンコーダーを上記のようにし直したら問題なく配信ができた。機種が変わってGPUが以前のと(Radeon Pro 5700 XT)違ったために起きたと思われる。
Youtubeにも同時マルチ配信をしている。OBSの録画の先をYoutubeに向けることで同時配信ができる。映像ビットレートは3850Kbps。
USBキャプチャボードのからの取り込み設定。1920×1080の30フレームで配信設定に合わせてある。

なお、このテスト配信は23時30分ころから始めて、0時0分ころに終了した。グラフに時刻が表示されている場合は、この時刻を参照にしてほしい。室温は前回の時より高めのおそらく25〜26度前後だったと思われる。各種グラフはその1の記事のグラフと比較して見ると面白いかもしれない。

CPU(Apple M1チップ)

配信を始めるとCPU使用率は50%前後まで上がる。Intel CPUのときは25%程度だったので、それに比較するとCPUに負荷がかかっているといえる。ただ、なにかしらRosseta2の処理が入っている可能性もあるので、それが影響している可能性がある。赤がシステム全体の使用率で、青がユーザ権限のアプリのCPU使用率と思われる(OBSはユーザ権限)。負荷が高いとは言え、せいぜい50%程度なので、フルHDでの配信はまったく問題ないと言える。
配信中と配信後における各コアごとのCPU使用状況。8コアのうち、4コアが高性能コアで4コアが高効率コアだが、どちらがどちらなのかは分からない。ただ、どちらもいい感じでコアを使っていて、マルチコアCPUを効率よく使っているようだ。

GPU(8コアGPU)

GPUに関してはモニタリングソフト(iStats Menu)が対応していないようで、グラフは取得できなかった。ただ、ハードウェアエンコーダーの設定は使えたので、内蔵GPUはおそらく使えていたのだと思う。

メモリ(16GBユニファイドメモリ)

青が「固定中」で赤が「使用中」。Intel Macとほぼ同じで配信したところでまったく変動がなかった。ただ、16GBのカスタムオーダーモデルで50%使っているので、カスタムしない8GBのモデルだとちょっと苦しくなる可能性もある。
配信中のメモリの状況。Intel Macの時よりはメモリの影響がありそうなので、前回表示しなかった他の指標も併せて表示。OBSのメモリ使用量はさほど変わらないし、メモリプレッシャもかかってないので、16GBモデルであればまったく問題ことが分かる。常駐アプリをほとんど入れていないので、他に色々動かしていると貴びくなるのかもしれない。
スワップのグラフ。配信の前に20MBほどスワップアウトが発生したらしいが、配信中は何も起きていないので、問題なしと言えるだろう。

その他のデータ

ロードアベレージ。CPUコア数が8なので8以内に収まれば基本は問題ないのだが、配信中に瞬間的に8に近づく場面がちらほらと。CPU自体はまだ余裕があるが、何かしらのウエイト状態が発生してその辺の数値が出ていた可能性はある。
各種センサー類。左が配信前で右が配信中。なんか、どれがCPUなのかよく分からないが、もっとも高いものでも60度程度なので、とにかく発熱がすくないのは間違いない。配信中に天板を触っても生温かいかな〜ってレベル。Intel Macと比較してM1機はとにかく発熱が少ない。これはすごい。
前回同様にあまり負荷とは関係ないが、ネットワークの帯域使用状況を掲載。赤がアップロードで青がダウンロード。Intel Macの時のグラフとスケールの単位が違うが、違いは見られない。

ゲーム配信するならM1 CPUのMacでも問題ないよ(ただし・・・)

ということで、Mac mini M1でゲーム配信のテストを行ったが、基本的にはまったく問題と思われる。とにかく発熱が少ない!! 夏場には最高のゲーム配信Macかと思う。

ただし、以下の条件がある。

  • PC上でゲームはせずにキャプチャで取り込むこと前提(コンシューマ機がメインの人)
  • メモリは16GBにカスタムしておいた方が安心かも

となる。M1 CPUでWindows動かすのは事実上無理(色々あがいてやってる人はいるが、ゲームで使うのはまったくもって無理)なので、PCゲームやりたい人は素直にWindows PCを買うべき。Macでゲーム配信をするなら取り込むこと前提だ。

あと、メモリに関しては16GBでは余裕だったが、8GBのモデルだとちょっと苦しい場面があるかもしれない。私ならゲーム配信するしないに関わらず、メモリは絶対に16GBにする。こんなもん、最初に多めに積んでおいた方が絶対にいい。たかだか2万円程度のプラスだから、5年使えば1日15円とかせいぜいそんなもんだし、ケチる意味がまったく分からない。

2021年6月現在で発売されているM1 Macはどれもほぼ同性能なので、MacBook系でもいいし、iMacでもほぼ同じかと思う。自分の環境に合わせて、適切なMacを選ばれるといいと思う。