久々のブログとなりますが、ついさっき発生したホットなネタとなります。ホットなうちに記事にしないと忘れてしまうので急いで筆を執った(キーボードを叩いた)次第です。
2020年12月3日に発売された「不思議のダンジョン 風来のシレン5plus フォーチュンタワーと運命のダイス」ですが、発売と同時に買わせて頂きました。先日買ったPS5やXbox Series Xを差し置いて、最近はずっとこればかり遊んでいる日々でした。
実は10年前、5年前に発売されたゲームの焼き直しでして、私は両方とも買ってすでに遊んでいるのですが、Switch版がリリースされてまた遊んでしまうくらい好きなゲームなのです。
しかしながら、つい先ほどですが4時間ほど遊び続けていた最中にゲームが進行停止するというすごく残念な不具合に遭遇してしまいました。このゲームを知っている方はお気づきだと思うのですが、これって実質的には4時間のロスだけはなく、それ以上のロスとなります。それまで丹精込めて育てた武器や防具が完全を失ってしまう(ロストする)ためです。
「風来のシレン」シリーズはロールプレイングゲーム(RPG)に分類されるゲームなのですが、通常RPGとはちょっと味付けが違い、「ローグ系」と呼ばれるゲームです。ローグ系の詳しい説明は下のリンクのWikipedia様を見ていただきたいのですが、「風来のシレン」シリーズの場合は操作しているキャラクターが死ぬと持っているものすべてが無になります。それは何十時間、何百時間かけて育てた武器や防具も例外ではありません。いかに「死なないでゲームを進められるか」が肝となるマゾいゲームです。
実は私はこのバグが存在していることは知っていてゲームをしていました(12月7日にスパイク・チュンソフトからも発表済み)。なので進行不能になった瞬間に「ああ、例のやつ引いてしまったなぁ」とすぐに状況を理解できてしまいました。ということでそこそこ冷静でしたが(時間が無駄になった事に対してはかなりしょんぼりしましたが)、もしこの件を知らなければ相当焦ったと思います。
「進行不能を伴う不具合」=「Aバグ」
ゲームを開発に不具合はつきものです。大きい不具合や些細な不具合、不具合なのか仕様なのか判断しがたいもの、不具合じゃないのに一部の人が不具合と言い張るもの、など様々な不具合が発生しますので、当然ですが、発売やリリースまでにはそれをなくす作業工程が発生します。俗に言う「デバッグ」という作業になります。そしてその不具合は「バグ」と呼ばれます。
最初はプログラマがプログラムを書いたりビルドしたりしつつ、最低限のデバッグをするのですが、がっつりとデバッグをするのは専門のチーム・スタッフが担うことになります。自社内にデバッグ専門の部署があるところ、デバッグを請け負う専門業者に依頼する(外注)ところなど様々ですが、なぜかゲーム業界ではバグの深刻度を表す場合に「Aバグ」「Bバグ」「Cバグ」という表現をするところが多いようです。
ということで、この記事のタイトルにもでかでかと「Aバグ」と表記しましたが、Aバグが一番深刻なバグで、「ゲームが進行不能になる不具合」「ゲーム画面が固まる(フリーズ)不具合」「ゲームがクラッシュして強制終了する不具合」などが上げられます。これらのバグは「絶対にあってはならないバグ」なので、これが直るまでは発売もリリースもできないことになります。
ちなみに「Bバグ」や「Cバグ」の定義も含めて気になる人は、のりブログさんの記事を参考ください。
【ゲーム開発】Aバグ、Bバグ、Cバグとは?
https://norizn.hatenablog.com/entry/2018/12/01/015908
「じゃぁ、Aバグが全部なくなるまで発売日やリリース日を決めないの?」という質問をゲーム業界以外の人からされたことがあります。残念ながらそんな甘い話はなくて、Aバグだらけの状況でも発売日・リリース日が確定していることがほとんどです。Aバグがあとどれくらい残っているのかなどの情報は基本はディレクターが開発チーム全体に共有していたりするので、「マスターアップ(ゲームを完成させてデータを納品すること)まであと10日しかないのにこのAバグ全部取り切れるのか?」なんてことは、ゲーム業界あるあるレベルの話であります。バグを取り切れなければ当然ですが発売日・リリース日が延期です。もしそういう状況になるとチームメンバー全員がどんよりした気持ちで次のマスターデータ提出締め切り日まで仕事を進めることになります。
やさしい消費者に救われたスパチュンさん
今回のバグですが、スパイク・チュンソフトさんは休日返上で修正パッチを作成し、そのリリースの報告をツイートしました。多くの人はそれに大して好反応のリプライを返していました。
みなさんやさしいですね。
ただ、やはり手厳しいリプライもあります。
今回発生したこの不具合に関して言うと、これくらいのことを言われても仕方のない「かなりやばい不具合を出したなぁ」というのが私の所見です。なのでこの反応も私は理解できます。この方は10時間で2度遭遇していると言いますし、私も13時間くらい遊んだところで発生しました。Twitterや5chの情報を見ても、かなり発生頻度が高い不具合と思われます。私個人の見解ではありますが、この程度の不具合は通常のデバッグをしていれば絶対に見つけられる類いのものだと思います(当たり前ですが、デバッグチームは一つのゲームをかなり時間をかけて精査しますので)。上のリプではデバッグのしようもなく検出も難しいとフォローしている方がいますが、そんなことはないはずです。
なぜこの不具合が内包されたままリリースされたのか?
ここからは想像になっちゃうのですが、このバグが世に出てしまった理由はおそらくマスターアップ直前に仕様変更なりバグの修正なりで何かしらの緊急修正作業を行い、それで新たなバグが潜り込んでしまった、もしくはすでに修正済みだったバグが再度表面化したのだと思います(これらの一連は俗に「エンバグ」とも言われます)。そして、その後のデバッグが疎かだったのだと思います。ちょっとした修正の場合は影響範囲が広くないと考えて、再度のデバッグをまともにしかなったり、デバッグするにしても修正箇所のみの狭い範囲でのみチェックだけで疎かにしてしまったのではないかと。もし予想が正しかったのであれば、これは100%凡エラーです。もったいない。
また、マスターアップ後から発売まである程度の時間があったはずです。今回はSteam版も同時リリースされたのでこういうページを見るとゲームが完成した日が概ね想像できるのですが、どうやら発売2か月くらい前にはマスターアップしていたように見受けられます。マスターアップ後にでもこの不具合に気付けば「0dayパッチ」というリリース日に修正プログラムを同時配布するような手はず(最近よくあるパターンですね)もできたと思うのですが、それができずにこのような事態になったのは開発者サイドもそうとう悔やんでいると思います。
それでも風来のシレンシリーズは良いゲーム
ということで、多少辛辣なことを書いてしまった気もしますが、それでもこのゲームの魅力が褪せることはありません。起きてしまったことはもうしようがない。自分は修正パッチがダウンロードできるようになったらガリガリ遊び尽くしたいと思います。
そして、願わくは5の焼き直しではなく、6が発売されることを切に願います。
追記(2023/12/15)
2023年末になって待望の最新作「不思議のダンジョン 風来のシレン6 とぐろ島探検録」が発表されましたね。
当然ですが予約済みです。初回購入予約特典のバージョンが色々あったけど、どれもそれほど興味もてなかったので通常版にしました(Amazonの限定オリジナルボックスつくやつが気になったけど、アクスタ12種付くだけで値段が倍近くになるのとかはさすがにちょっと高くない?)。個人的にはゲーム内で何か反映されるのが(衣装がちょっと替わるとかでも)よかったですね。初日から遊び倒したいですが、とにかくAバグだけは勘弁してほしい!w スパチュンさん、頼みます!