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Nintendo DS、3DSのゲームを配信(録画)する方法(自分で偽トロ基板を組み込んでみる / 実践編)

前回の続きである。前回の記事はこちら↓

以下に色々と書くが、当然だが自己責任の下で作業を行ってほしい。この記事を信じて作業をして何かトラブルがあっても責任は取れない。

いきなりの実践は危険。心の準備が必要。

ということで、見出しでネタバレ感もあるのだが、いきなり実践に入るのは危険だし、なれない作業をするのだから心の準備も必要である。自分も以下の二つの動画を何度も繰り返し見返して心の準備を図った。

どちらの動画も作業前に10回くらいは繰り返して見たと思う。同じ基板を取り付けるのだから、内容はほぼ同じかと思いきや、手法や手順が若干異なるのは興味深い。また、上の動画ははんだ付けやケース加工のの作業などがまるっと省かれているので、そちらは下の動画を見てイメージトレーニングをした。何度も見てるうちにできるような気になってきた。

だが、罠があった(具体的な内容に関しては次節以降で)。この動画の作者お二方には感謝しかないけど、信じすぎてはいけない部分もあると感じた。まずは一次ソースである基板業者の取り付けマニュアルもしっかり見ることを怠ってはいけないと、作業後に感じた。なので、作業前にこちらのサイトを上から下までしっかりと見て読むことをオススメする。

罠1:コネクタやフレキシブルケーブルの外し方

まー、罠とは書いたが、これは自分の基礎知識のなさもあるとは思う。ただ、この手の作業をしたことない人には「え、そうなの?」と思う人もいると思う。前節の2つの動画の上の方の動画でコネクタやフレキシブルケーブルを外す方法についてわりと細かく説明があるので(この辺から)、まずはこれをしっかり見た上で、以下の点に注意してほしい。

「赤」のそのまま「上に持ち上げて外す」タイプは特に難しくはない。

「青」のラッチを上げるタイプは、ラッチを上げる際にだけ気をつければ難しくはない。ドライバーやピンセットを使って上げるより、手でゆっくり上げた方が安全そう。ケーブルを抜く際はピンセットなどを使うといいかと。

「黃」の「そのまま引き抜いて外す」のが一番やっかい。抜こうと思ってもひっかかかるので、なかなかに抜けない。抜いて大丈夫?みたいな気持ちになるのだが、たぶん抜いて大丈夫。微妙な力加減でゆっくり引き抜くようにすれば、するっと抜けるはずだ。3DSの修理で大御所のあすか修繕堂さんの動画(こちらを参照)では、上の黒い部分を0.1ミリほど?持ち上げるのが正しいらしいが、持ち上げなくても抜けることは抜ける。逆に持ち上げるとコネクタごともげる可能性もある。どっちが正しいのかは分からないが、あすか修繕堂さんは修理のプロだからプロを信じる方がいいかも。

そして、動画の説明にある一番上の黃色の枠のケーブル(タッチパネルのケーブル)だが、これは実は「青」が正解だ。ラッチを上げてケーブルを引き抜こう。

▲動画からキャプチャした画像。一番上の黄色の囲みは誤りで、実は青色(ラッチを上げてケーブルを外す)が正しい。自分の確認ミスが原因であり、動画の作者さんは一切悪くないのだが、結果として自分はケーブルを破損してしまい、後にタッチパネルをまるっと交換することになった。

自分は基礎的な知識が足りなかったせいもあり、ケーブルをはずそうとして失敗し、2か所ほど黒いコネクタごともげてしまった。幸いにしてゲームプレイにはほぼ支障がないマイクとNFCリーダー(amiiboで使うやつ)のコネクタだったので事なきを得た。

▲浮いてしまっている基板と繋がるはずのケーブル(背面でNFCリーダーと繋がっている)。本来は基板上にある黒いコネクタに収まるはずが、コネクタを壊して外してしまったのでケーブルが浮いてしまっている。NFCリーダーのケーブルだったのが不幸中の幸い。
▲外れてしまったコネクタ

罠2:ケース加工

最難関ははんだ付けと思ってる人が多そうだが、実はケース加工が一番難しいと感じた。偽トロ基板をキレイに収めるためにはケースを薄くする必要がある。前回の記事でプロクソンのミニルーターセットやら工具を色々と購入したが、これは工具だけではいかんともしがたい感じを受けた。

基板業者のサイトに載っている写真はすごくキレイに加工を行っているが、ここまでキレイに加工を行うのは実際はかなり難しいかと思う。見えない部分だからここまでキレイにする必要はないが。

そもそもこのケースの厚みが1.2ミリ程度しかない。これを薄くしろというのは無理があると感じたw ガリガリ削ってはみたが基板がしっかり収まる感じがなく、頑張って削り続けるてると一部に穴があいてしまった。

▲めちゃくちゃ汚いが、たぶん素人の大半はこんな感じになると思う。右の丸い部分はSDカード挿入口なのだが、そこの際の部分が上手く削れない。なんとか頑張って削ろうとして穴が空いてしまった。

嫌になったのでいっそのこと基板の部分まるっと穴をあけてしまうことにした。ここに穴を開けても、カバーがあるので実際に基板が露出することはない。むしろ基板が相当の熱を発するので、放熱を考えると穴がいている方が良いという説もある(都合の良い勝手な持論)

▲最終的に基板はこうやって収めた。国内基板のO社さんも偽トロ基板を入れるために穴開けで対応しているようなので、これでも問題は起きないとは思うが、正しいという保証はない。

やはり穴は開けたくないという方にアドバイスするとしたら、SDカードの際の部分を削るのも重要なのだが、下の写真の白い丸枠に囲まれた部分に壁のようなものがあって、これが基板とひっかかってうまく基板が収まらないケースがあるので、この壁を削って取っ払うことでケースに収まりやすくなるかもしれない。もちろんケースの強度が弱くなるので、それを犠牲にしてもいいならということになるが。

▲上手くやればここを削り取らずとも基板は収まるはずだが、自分は面倒なので壁を取り払った。

罠3:はんだ付けは気合いで乗り切るしかないが作業キャンセルも可能

最後の難関のはんだ付けだが、関係するのは音に関する部分だけなので、イヤホンジャックから音を取るようにすれば、はんだ付け作業は省くことも可能だ。私はオーディオインターフェースと連動してボリュームの微調整をしやすくするために、あえてイヤホンジャックから音を取っているくらい(参考記事)。

ただ、やっぱり音も直接取れるようにしておきたいところはあるので、果敢にチャレンジしてみた。結果として、1度目は失敗したが、2度目で無事に成功した。

▲微妙にずれている気がしないでもないが、これで問題なく音が取れるようになっていた。

最初に基板にフラックスを塗り、はんだを供給する際はこて先にはんだを付けて融かしてから、それを基板やフレキシブルケーブルの上に「乗せ移す」ような方法ではんだ付けをした。おそらく正しい方法じゃないと思うが、左手で直接はんだを供給するような細かい動きができそうになかったからだ。自分はこの方法で成功したので、もし普通にやって上手くいかなかった人はこの方法で試してみるといいかもしれない。

罠4:外したフレキシブルケーブルを元に戻すのが一苦労

ここまで来れば山は越えたが、最後の方にも細かい罠が色々とあった。組み立てたのに、電源がつかなくなったり、キャプチャした映像にまれにノイズが乗ることがあったりした。はっきりとした原因は分からなかったが、おそらくはフレキシブルケーブルがちゃんと奥まで刺さってなかったり、ラッチを閉め忘れていたり、フレキシブルケーブルを入れた際にほこりのようなものが混入していたりだったと思われる。あと、LボタンやRボタンのコネクタをはめ込むのが意外に難しく、めちゃくちゃめんどいが、ここも気合いで乗り切るしかない。

何度も何度も開けたり閉じたりをやり直して、最後にようやくまともに映像も音もキャプチャできるようになった。

▲なんとか上手くいったので、元々持っていたO社さんで取り付けまでやってもらった偽トロ3DSとの比較動画を作ってみた。

自分でやるか? プロにお願いするか? の判断ポイント

バキバキの電子工作素人がどこまでできるか?という検証も込めて頑張ってやってみた。ブログのネタにもなるし、と。

ただ、実際にやってみて思ったことは、今後もこのような作業には興味がなく、偽トロ3DSだけなんとか調達できればそれで十分みたいな人は、これはプロに任せた方が絶対に良いだろう。たしかにそれなりの工賃はかかるが(やってみると分かるが全然高くない)、工具は買わないといけないし、時間もかかるし、神経もすり減るしで、たぶんプロに任せた方が結果的には安いのは間違いない。Xやメルカリで検索すれば、海外基板の3DSの組み込み対応をしてくれる人が見つかるはずなので、その方にお願いすると良いと思う(私はお願いしたことがないので、なにかトラブルなどがあっても責任は取れませんが・・・)

ただ、今後も電子工作を楽しみたいということであれば、これはチャレンジしても良いと思った。自分はいずれ3DOのRGB出力基板の組み込みとかもやってみたいと思ってるので、この作業で少しは自信がついたと思う。せっかく工具も揃えたので、落ち着いたらチャレンジしてみたいと思う。

▲偽トロよりもさらに難易度が高そうな3DOのRGB出力化の基板。いずれチャレンジしてみたいと思う。購入はこちらから。

もし何か質問などがある場合はXのDMやゲーム配信中にコメントを頂ければ、可能な限りでお答えしますのでお気軽に。